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読者から

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CO2の排出がない原発は、地球の温暖化を避けるためには有効なものと信じて疑っていませんでした。今回の福島原発事故を機に、これまで知らなかった多くの事実に驚かされていますが、原発と海水温の上昇との関係に次のようなことがあろうとは思いもよりませんでした。

岩上安身オフィシャルサイト 2011年4月1日 小出裕章氏へのインタビュー
http://iwakamiyasumi.com/archives/8030

【抜粋:原発からの二次冷却水による海水温への影響】

小出:
100万キロワットとは何かというと、電気になっているのが100万キロワットという意味。炉心では300万キロワット分の熱が出ている。残りの3分の2はどうするかというと、海に捨てている。そんなばかばかしい非効率な装置。しかも200年前にジェームスワットが発明した蒸気機関の原理をいまだに使っている。効率はあがっているが熱効率はいまだに33%しかない。残りの66%は捨てるしかないという馬鹿な装置。ここでは、一秒間に70トンの海水を引きこんで、その温度を7度上げるということをやっている。荒川や多摩川で一秒間に30トン、40トンぐらい。淀川で、1秒に150トン。日本全国でも一秒間に70トン以上流れる川は30もない。日本屈指の大河が原子力発電所ひとつつくると現れて、その温度が7度も上がっている。7度というと、お湯の温度をそれだけ上げて風呂に入れるかというと、そんなことができないくらいの温度。とてつもない温度上昇。海にはもちろん生き物もいるが、その生き物たちは生きられなくなる。代わりに温かい環境が好きな生き物が来るからいいじゃないかと言う方もいるかもしれないが、少なくとも、そこの生態系は破壊されてしまう。日本近海は世界平均の海洋の温度上昇の何倍も高いスピードで温度が上昇している。

岩上: 原子力発電所の設置、それによる温排水と日本近海海洋温度上昇の実証的な関係の研究はあるのか。

小出: 厳密には立証されていない。ただし、日本にある54機の原子力発電所が1年間にどれだけの温排水を出しているかというと1千億トンになる。日本という国にはたくさんの川があるが、全河川でどれだけの流量があるかというと4千億トン。つまり、日本全体の川の四分の一にもなる水量を「熱い川」として海に流している。私の感覚で言えば、それで海が熱くならないのはおかしい。

岩上:地球温暖化の原因は二酸化炭素だとしきりに言われているがどうか。

小出:その主張がかなり有力だが、私は信じていない。二酸化炭素は確かに原因の一つではあるが、それだけでなく原発の温排水も一因だと思う。

岩上:CO2の排出規制のためには原子力だと、この何年間、かなり喧伝されてきたが間違いなのか。

小出:もともとから間違い。原子力発電所が生む核分裂生成物の始末まで考えれば、あまりにもばかばかしい。原子力発電をすればCO2の排出量が減るなどということは決してない。

岩上:今回、あらためて日本は津波に襲われやすい国なのだと実感した人は多いと思う。そんな国で海のそばに原発を建てるのは必須なのか。チェルノブイリは内陸だったが。

小出:チェルノブイリの場合は、そばに巨大な人造湖を作って、そこから水を引き込んで原子炉を冷やしていた。内陸にある原子力発電所は、大きな川のそばにある。川の水を使って冷却をするが、ただ川ではとうてい間に合わないので、冷却塔という空気中に放熱する巨大な装置が付随している。日本の場合は海洋国なので巨大な川はまずないし、巨大な人造湖を作るのも国土上難しい。といって、冷却炉をつくるには金がかかりすぎる。そのため、ともかく海沿いにつくるのが一番いいということで、ずっと海沿いに作ってきた。

岩上:原子力を推進していくうえで、海洋国で島国であるということは立地上、有利だと考えていた人たちも多いのか。

小出:海岸線が長いから原子力発電をやりやすいと思っていた人は多いと思う。